本『審判』(フランツ・カフカ)の感想
- 作者: フランツ・カフカ,本野亨一
- 出版社/メーカー: 角川書店
- 発売日: 1953/03/30
- メディア: 文庫
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「審判」
フランツ・カフカ 1925年
ストーリー
- ある日、男が逮捕される
- 逮捕される謂れは男にはない
- 逮捕されるが、身体を拘束されることもなく仕事をして、日常生活は自由に過ごせる
- 裁判所には通う必要はある
- 弁護士を雇う
- 処刑される
不安
- よくわからない罪で逮捕され処刑される。
- 法の執行は粛々と進んでゆく。
- 不明瞭な社会の仕組みだが、それを受け入れてしまう個人
- こういった内容から「不安」というキーワードを感じる。
漠然とした不安は例えば、現代だと下のように言い換えれる
- だいぶ前に店舗でレンタルした DVD/Blu-ray を返却していないかもしれない
- そしてそれは部屋のどこかにある気がする
- 外出先で、自宅のガスコンロの火を止めていない気がする
- 自宅のドアの鍵もかけていない気がする
しかし、だいたい思い過ごしの杞憂である。少しそういった不安症の要素が自分にはある、と思い聞かせて生きてきた。
そういった人生に突如、不明瞭な不安を実現させて、見せつけてくる。「審判」はそんな話に思えた。
またその他のカフカの本(たとえば変身)も、"ある日訪れる"超現実な状況とそれを受け入れる(受け入れるしかない)不安を感じる。
カフカ
作者のカフカが、不安な気持ちになりやすい人だとすると、以下の話は納得しやすい。
ネクスト・ソサエティ ― 歴史が見たことのない未来がはじまる
- 作者: P・F・ドラッカー,上田惇生
- 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
- 発売日: 2002/05/24
- メディア: 単行本
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ところで、フランツ・カフカという名前を知っておられるか? オーストリアの偉大な作家だ。実は安全ヘルメットを発明したのが、そのカフカだった。彼は第一次対戦前に、ボヘミアとモラビア(当時オーストリア領、のちチェコ)で労災補償関係の行政官だった。
このエピソードが真実だとすると、カフカはその不安な気持ちを生かして、以下の2つを社会に残したことになる。
- 人の命を守る安全ヘルメット
- 人の心を豊かにする小説
その自身の特性が、違う分野でそれぞれ現代も残るほどの貢献をされたという点で、フランツ・カフカという人物は興味深い。