所得と所得控除

所得控除の一覧

  1. 給与所得控除(給与所得者のみが対象)
  2. 雑損控除
  3. 医療費控除
  4. 社会保険料控除
  5. 小規模企業共済等掛金控除
  6. 生命保険料控除
  7. 地震保険料控除
  8. 寄附金控除
  9. 障害者控除
  10. 寡婦控除・寡夫控除
  11. 勤労学生控除
  12. 配偶者控除
  13. 配偶者特別控除
  14. 扶養控除
  15. 基礎控除

1. 給与所得控除

No.1410 給与所得控除

給与所得にかかわる控除。 給与所得者は「給与所得控除」された給与所得に、これ以下の控除を適用する。

給与所得 = 給与収入 - 給与所得控除

平成29年分~令和元年分

給与等の収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払金額) 給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40% 650,000円に満たない場合には650,000円
1,800,000円超 3,600,000円以下 収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超 6,600,000円以下 収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超 10,000,000円以下 収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超 2,200,000円(上限)

令和2年分以降

給与等の収入金額(給与所得の源泉徴収票の支払金額) 給与所得控除額
1,800,000円以下 収入金額×40%-100,000円 550,000円に満たない場合には、550,000円
1,800,000円超 3,600,000円以下 収入金額×30%+80,000円
3,600,000円超 6,600,000円以下 収入金額×20%+440,000円
6,600,000円超 8,500,000円以下 収入金額×10%+1,100,000円
8,500,000円超 1,950,000円(上限)

2. 雑費控除

No.1110 災害や盗難などで資産に損害を受けたとき(雑損控除)

災害又は盗難若しくは横領によって、資産について損害を受けた場合等には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを雑損控除といいます。

控除の金額

次の二つのうちいずれか多い方の金額です。

  1. (差引損失額)-(総所得金額等)×10%
  2. (差引損失額のうち災害関連支出の金額)-5万円

認められる原因

次のいずれかの原因が対象(詐欺や恐喝は含まれない)

  1. 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
  2. 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
  3. 害虫などの生物による異常な災害
  4. 盗難
  5. 横領

3. 医療費控除

No.1120 医療費を支払ったとき(医療費控除)

 その年の1月1日から12月31日までの間に自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために医療費を支払った場合において、その支払った医療費が一定額を超えるときは、その医療費の額を基に計算される金額(下記3参照)の所得控除を受けることができます。これを医療費控除といいます。

対象となる医療費

  1. 納税者が、自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族のために支払った医療費であること。
  2. その年の1月1日から12月31日までの間に支払った医療費であること(未払いの医療費は、現実に支払った年の医療費控除の対象となります。)。

控除の金額

控除の金額 = (実際に支払った医療費の合計額 - 保険金などで補てんされる金額) - 10万円

10万円の部分は、その年の「総所得金額等」が200万円未満の人は「「総所得金額等」の5%になります。

例)医療費20万円 保険金0円

控除の金額は10万円になる

10 = (20 - 0) - 10

例)医療費20万円 保険金5万円

控除の金額は5万円になる

5 = (20 - 5) - 10

例)医療費20万円 保険金0円 総所得金額等が100万円

控除の金額は15万円になる

15 = (20 - 0) - (100 * 0.05)

4. 社会保険料控除

No.1130 社会保険料控除

納税者が自己又は自己と生計を一にする配偶者やその他の親族の負担すべき社会保険料を支払った場合には、その支払った金額について所得控除を受けることができます。これを社会保険料控除といいます。  控除できる金額は、その年に実際に支払った金額又は給与や公的年金から差し引かれた金額の全額です。

5. 小規模企業共済等掛金控除

No.1135 小規模企業共済等掛金控除

納税者が小規模企業共済法に規定された共済契約に基づく掛金等を支払った場合には、その支払った金額について所得控除が受けられます。これを小規模企業共済等掛金控除といいます。

控除できる掛金は以下

  1. 小規模企業共済法の規定によって独立行政法人中小企業基盤整備機構と結んだ共済契約の掛金
  2. 確定拠出年金法に規定する企業型年金加入者掛金又は個人型年金加入者掛金(iDeCo
  3. 地方公共団体が実施する、いわゆる心身障害者扶養共済制度の掛金

6. 生命保険料控除

No.1140 生命保険料控除

納税者が生命保険料、介護医療保険料及び個人年金保険料を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを生命保険料控除といいます。

7. 地震保険料控除

No.1145 地震保険料控除

 納税者が特定の損害保険契約等に係る地震等損害部分の保険料又は掛金を支払った場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを地震保険料控除といいます。

地震」という名前が付いているが、実際は火災や自然災害などの損害保険も含む。
詳しくは以下のページを参照。

No.1146 地震保険料控除の対象となる保険契約

8. 寄附金控除

No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除)

 納税者が国や地方公共団体特定公益増進法人などに対し、「特定寄附金」を支出した場合には、所得控除を受けることができます。これを寄附金控除といいます。なお、政治活動に関する寄附金、認定NPO法人等に対する寄附金及び公益社団法人等に対する寄附金のうち一定のものについては、所得控除に代えて、税額控除を選択することができます。

9. 障害者控除

No.1160 障害者控除

 納税者自身、同一生計配偶者(注)又は扶養親族が所得税法上の障害者に当てはまる場合には、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを障害者控除といいます。  なお、障害者控除は、扶養控除の適用がない16歳未満の扶養親族を有する場合においても適用されます。

障害者控除の金額

区分 控除額
障害者 27万円
特別障害者 40万円
同居特別障害者 75万円

障害者控除の対象となる人の範囲

対象 区分
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある人 特別障害者
知的障害者 障害者
知的障害者(重度と判定された人) 特別障害者
精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている人 障害者
精神障害者保健福祉手帳(1級)の交付を受けている人 特別障害者
身体障害者手帳の交付を受けている人 障害者
身体障害者手帳(1級・2級)の交付を受けている人 特別障害者
戦傷病者手帳の交付を受けている人 障害者
戦傷病者手帳の交付を受けている人(恩給法に定める特別項症から第3項症までの人) 特別障害者
原子爆弾被爆者に対する援護に関する法律の規定により厚生労働大臣の認定を受けている人 特別障害者
その年の12月31日の現況で引き続き6ヶ月以上にわたって身体の障害により寝たきりの状態で、複雑な介護を必要とする人 特別障害者

10. 寡婦控除・寡夫控除

No.1170 寡婦控除

 納税者自身が一般の寡婦であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを寡婦控除といいます。

11. 勤労学生控除

No.1175 勤労学生控除

 納税者自身が勤労学生であるときは、一定の金額の所得控除を受けることができます。これを勤労学生控除といいます。

12. 配偶者控除

No.1191 配偶者控除

 納税者に所得税法上の控除対象配偶者がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。これを配偶者控除といいます。

配偶者特別控除」と似通っているが単純に区別すると

  1. 配偶者が働いていない(所得38万円以下)場合は「配偶者控除
  2. 配偶者が働いている(所得38万円を超える)場合は「配偶者特別控除

上記にある「38万円」は令和2年分以降は「48万円」になることに注意

控除対象配偶者となる人の範囲

平成30年分以後は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額が1,000万円を超える場合は、配偶者控除は受けられません。

  1. 民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しません。)。
  2. 納税者と生計を一にしていること。
  3. 年間の合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降は48万円以下)であること。
    • (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

13. 配偶者特別控除

No.1195 配偶者特別控除

 配偶者に38万円(令和2年分以降は48万円)を超える所得があるため配偶者控除の適用が受けられないときでも、配偶者の所得金額に応じて、一定の金額の所得控除が受けられる場合があります。これを配偶者特別控除といいます。  なお、配偶者特別控除は夫婦の間で互いに受けることはできません。

14. 扶養控除

No.1180 扶養控除

 納税者に所得税法上の控除対象扶養親族となる人がいる場合には、一定の金額の所得控除が受けられます。これを扶養控除といいます。

扶養親族に該当する人の範囲

  1. 配偶者以外の親族
  2. 納税者と生計を一にしている
  3. 年間の合計所得金額が38万円以下(令和2年分以降は48万円以下)であること。
    •  (給与のみの場合は給与収入が103万円以下)
  4. 青色申告者の事業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払を受けていないこと又は白色申告者の事業専従者でないこと。

15. 基礎控除

確定申告や年末調整において所得税額の計算をする場合に、総所得金額などから差し引くことができる控除の一つに基礎控除があります。  基礎控除は、ほかの所得控除のように一定の要件に該当する場合に控除するというものではなく、一律に適用されます。

令和1年分までの基礎控除の額は38万円

令和2年分以降の基礎控除については以下。

個人の合計所得金額 控除額
2,400万円以下 48万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円
2,500万円超 0円