本『リーダブルコード』の感想

原題は

The Art of Readable Code: Simple and Practical Techniques for Writing Better Code

である。

邦題では「リーダブルコード」であるが、原題では「The Art of Readable Codes」なので本来は Art の意味もタイトルに含まれている。

その言葉の意味を考えると、これは内容的には、コーディングに関しての Art, 芸術に関する本である。

基本的なところだと、たとえば命名や改行の仕方で、そのコードの読みやすさというは変わる。(命名が適切であり、役割を簡潔に示せているか? 改行された位置により処理が一つのブロックであることを示せているか?)

残されたコードが読みやすく、理解しやすく、あとで読む人(それはすっかりコーディングした当時のことを忘れた自分かもしれない)がストレスなく開発できるかどうか?

そういったコードを通した情報伝達の精度をいかによくするか、という芸術だ。

逆に、この情報伝達がうまくできていないと、コードというダンジョンを、頼りない松明片手に探索する考古学をしなければならない。 (そして運が悪ければダンジョンから出れずに、壁に「yyyy/MM/dd 私は解析に失敗した。ここに眠る ◯◯」とコメントする羽目になる)


本は 200 ページくらいで読みやすい。

「こうしたらコードが読みやすくなる(Readable)」という tips は、自分でコーディングしたり、ほかの人のコードを読んだりして無意識に獲得していくものも多いが (本を読んで、これはやっているなぁ、、という部分もある)、文書にして明文化したことにより、それらが共通知識として残るので価値がある。

個人的には範囲を示すときに start/stop は包括的で、begin/end は終端が排他的なものに使うというのが、なるほどなあ、と思った。

たとえば

2020/01/01 の1日を範囲としたい場合

  • start 2020/01/01 00:00:00
  • stop 2020/01/01 23:59:59

ではなく

  • begin 2020/01/01 00:00:00
  • end 2020/01/02 00:00:00

とできるし、後者の方が自然である。

前者だと厳密に1日の終わりを示すことは難しい。なぜなら 59 秒は1日の終わりでなく、まだ1秒あるからだ。(さらに 999... とミリ秒単位の指定を続けると精度はあげることはできるが、、)