映画『たそがれ清兵衛』の感想
なにか映画を流しながら PC 作業しようかなあ、と思い、チラチラみながらやってたのだが、だんだんとこれはちゃんと見たほうがよいんじゃないか?と思って、PC を閉じて、映画に集中した。
そのくらい良い映画だった。
まず最初の暗い葬式のような場面が、しんとしていて、悲しさがでていて、はじまりからこの映画の完成度を物語っている。
つぎに、宮沢りえが登場して、清兵衛との恋の予感がある。観ていて感情移入できて、最初の暗い葬式と比べてなごやかなシーンで、人間の感情の描き方の質の高さと幅広さがある映画だなと感じられる。
最初のふたつのシーンで出ているが、この映画は、未来の愛の希望と、過去と現実が示す哀しさを描いてる。
そのコントラストが淡く、非常に人間的で共感できる。
全体的にこの映画は淡々と進んでいき、コカ・コーラのような一瞬で頂点にいく爽快感みたいなものはないのだけど、じわじわとゆっくり惹きつけられる面白さになっている。それが、古き良き日本映画という風格を醸し出している。
最後のシーン。 愛する宮沢りえが待っているかもしれない自宅に帰る清兵衛。
ここはおなじ山田洋二監督の幸せの黄色いハンカチを彷彿とさせる切なさがある。
愛する人が待っているかどうかだ。